先日、「減損」による下方修正を発表して、急落している「味の素」について、考えます。

1.前年との比較から考える
前年でのマイナスは以下。
・プロマシドール・ホールディングス社(PH社)商標に係る減損、32億円。
・ノースアメリカ社・PH社・イスタンブール味の素食品社減損、312億円。

今年(今回発表分)のマイナスは以下。
・プロマシドール・ホールディングス社(PH社)商標に係る減損42億円(前年から継続)、商標以外減損38億円。
・動物栄養減損、117億円
・ベーカリー事業減損、38億円
・構造改革、150億円

前年との比較でわかることは、減損額が上昇傾向。前年340億円⇒今年390億円。

2.今後
1)痛みを伴う改革
世界19工場を15工場へ減少など、痛みを伴う構造改革は2020年・21年続く。2019年は前倒しで構造改革分の減損を決算に反映。1000億円程度の資産圧縮を計画。

将来的にはプラスだが短期的にはマイナスで、ここを大口投資家がどう見るか次第で株価の上昇・下落が決まる。

2)成長加速に向けた方針
「Big Data解析・データドリブンマーケティング」と言っているが、これによりどんな成果が出るかは未知数だが、方向性は間違っていない。既存業務について経費適正化も志向しており、これ一つ集中するだけでもかなりの業績アップが見込めるが、これも未知数。

3.考察
1)2020年、2021年は、2018年や2019年と同規模の300~400億円程度の減損が想定される。つまり、当期利益は2020年度、2021年度は横ばいが想定される。
2)味の素の株価の下落の開始はトランプ政権誕生の前であるので、トランプ大統領による米中貿易摩擦とは無関係。
3)株価のチャートを見ると、金融緩和による上げ相場の終焉の一歩前に先行して下げているので、どちらかというと金融緩和相場の終わりを予見した大口機関の売りが始まり。同様に先行して下げた銘柄あるので。金融相場は再開したので、おそらく、上げ継続。「毎年」減益のJT(日本たばこ)でさえ、株価が8月末で反転していることを考えると、個人的には、「空売り」には分が悪い相場環境と考える。チャート年足では下げ継続。月足では下げ・上げの岐路。
4)もし下げが継続した場合、底の目途は、1200円。構造改革が進んでいることを考えると、今の株価との中間の1500円以下は目をつぶって買いの位置と判断している。楽観的には、月足では2月を底に上げが継続しているので、1624円以下にはならないという見方もあり得る。
5)家族でお世話になっている商品が多いので、応援したい。https://www.ajinomoto.co.jp/products/?t=search-by-brand